ニュースの概要

全国の道の駅が自慢の味を競う「道-1グランプリ2026」が、10月18日に群馬県前橋市の道の駅まえばし赤城で開かれました。2日間で24駅27品が出場し、来場者の投票で頂点に選ばれたのは、地元のわぬき屋が手がける「まえばしバナナカスタードパイ」です。価格は400円。大会は2016年に始まり、今回が第8回、群馬県での開催は初めてでした。投票は金券1,000円分につき1枚の投票券を受け取る仕組みで、想定来場者は4万〜6万人とされています。前回2025年の頂点は徳島・みまの里のにし阿波系ラーメンで、まえばし赤城は同年にバナナの絹シフォンサンドでアイデア・ユーモア賞を得ていました。

引用元: 道の駅グルメで全国1位!「まえばしバナナカスタードパイ」 道の駅まえばし赤城(群馬・前橋市)(上毛新聞)

分析・見解

地元開催の追い風だけでは説明しきれない勝因

開催地の駅が優勝すると、どうしても「ホームの有利」と見られがちです。確かに、地元客が多く集まる大会では、地元の駅に票が入りやすい面はあります。

ただし、今回の勝因をそれだけで片づけるのは早計です。前年に同じ駅が別のバナナ菓子で特別賞を取っていました。つまり、一度きりの当たりではなく、同じ素材の商品を磨き続けた流れの先に頂点がありました。受賞歴を次の商品開発の足場にした点が、ほかの駅との差だと考えます。

投票券の仕組みが選ぶ商品を決めている

投票券は、金券1,000円分につき1枚です。この方式では、会場でたくさん買い物をした人ほど票を持ちます。しかも一人が複数の店で買い回るので、一品あたりの購入単価が低く、手軽に食べられる品が有利になります。

400円のパイは、この条件にぴったり合います。ラーメンや丼は満足感が高い反面、一人が何杯も食べるのは難しいからです。片手で持てて、歩きながら食べられて、複数の投票券を使った後でも手が伸びる。この「もう一品」に選ばれやすい設計が、順位を押し上げた面があるはずです。味の評価と同時に、会場での買われ方まで見通した商品づくりが問われた大会でした。

道の駅のグルメは、食堂から物販型へ広がっている

これまでの道の駅グルメは、食堂で食べる定食やご当地麺が主役でした。ところが近年は、持ち帰れる焼き菓子、パン、冷凍食品が売上の柱に育っています。理由は単純で、通過するだけのドライブ客に席を使わせず、短い滞在でも買ってもらえるからです。

バナナカスタードパイは、まさにこの流れに乗った品です。地元素材のバナナという切り口は、前橋市と結びつけやすいため、土産としての物語も作れます。物語があれば、価格が400円でも「ここで買う理由」になります。

全国大会は、駅同士が学び合う場でもある

24駅27品が一堂に会すると、来場者だけでなく出店側も他駅の売り方を間近で見られます。試食の出し方、行列の捌き方、看板の言葉選び。どれも現場では貴重な学びです。

今後は、受賞をきっかけに通販や催事への展開を図る駅が増えると見ています。ただし、人気が出た後に供給が追いつかなければ、期待を裏切る結果になります。商品力と同じくらい、作り続ける力が問われる局面です。

ビジネスへの影響

受賞を売上に変えるには、直後の数週間が勝負

全国一位という肩書きの効果は、話題が熱いうちに最大になります。受賞直後は来客が増えるため、仕込み量を増やし、売り切れを避ける準備が欠かせません。生地や果物の仕入れ先とは、受賞前から増産を相談しておくのが理想です。

また、販売場所を広げる際は、賞味期限や表示の見直しも必要です。持ち帰りや通販に広げると、保存方法や原材料の表示が変わります。人気に押されて急ぎすぎず、安全面を先に固めるべきです。

小さな駅でもできる、名物づくりの進め方

名物は、大きな予算がなくても育てられます。まずは地元の素材を一つ決め、それを使った手軽な品を複数試します。価格は300〜500円の範囲に収め、歩きながら食べられる形にします。

次に、イベントや大会に積極的に出て、他駅の反応を直接聞きます。一度で当たらなくても、特別賞を足場に翌年へ改良を重ねる姿勢が、今回の事例から学べる最大のポイントです。出店者との役割分担を明確にし、売上の分け方も事前に話し合っておくと、長続きします。

関連記事

本記事は報道内容を出発点に、道の駅の設置者・運営者の実務に引き寄せて編集部が整理した解説です。数値や制度の最新情報は、引用元と所管窓口の一次資料で確認してください。